現在リスティング広告を配信しているんだけど、なかなか効果が改善出来なくて困っている…。
今までの配信データを元にキーワード・広告文・ランディングページの3軸で改善していこう!
リスティング広告は運用型広告とも呼ばれ、ただ広告を配信しているだけでは効果を最適化することはできません。
すでにリスティング広告の配信をしているのであれば、これまでの数値データを分析して広告効果が最適化されるように運用を行っていく必要があります。
リスティング広告で運用の最適化を行う際に重要となるのは、キーワード・広告文・ランディングページの3つの軸に対してそれぞれ仮説を立てながら検証していくことが、運用の鍵になってきます。
そこで今回は、今よりもリスティング広告のCPAを引き下げてCV数を増加させたいと考えている方に向けて、キーワード・広告文・ランディングページの3軸における効果改善に繋げる8つのポイントを解説していきます。
キーワード(KW)における運用調整ポイント
リスティング広告において、キーワードはターゲットとなるユーザーを選定するための軸になってきます。
どのキーワードで出稿するか、どのキーワードを抑制(強化)するか、によって広告を配信するユーザーの質が変わってきます。
キーワード軸で運用調整する際のポイントは、以下の3つになります。
- ポイント①:獲得良好キーワードのインプレッションシェア向上
- ポイント②:検索語句のデータから追加と除外対応
- ポイント③:RLSAを活用したキーワードの発掘
ポイント①:獲得良好キーワードのインプレッションシェア向上
目標としているCPAよりも低くCVに繋がっているキーワードや繋がりやすいと考えられるキーワードを入札強化しインプレッションシェアを向上させることで、機会損失を防ぐことができるのでさらにCV数を伸ばせる可能性があります。
運用調整でよく間違えやすい対応として、CPAを改善させようと全体的に入札単価を引き下げることをしてしまいがちなのですが、この対応で確かにCPCは下がりますがその分CV数の減少に繋がりCPAが反対に悪化してしまうリスクがあります。
なぜなら、入札単価を引き下げるということは広告の掲載順位を引き下げることに繋がりますので、質の高いユーザーに配信できていたキーワードで抑制をかけてしまうと、その分予算の多くがCVに繋がりにくいユーザーに配信されてしまう可能性があるからです。
そこでキーワードの運用調整をする際は、インプレッションシェアという指標を活用していくことが重要です。
インプレッションシェアとは、インプレッションシェアとは?予算や広告ランクによる改善方法の記事でも解説していますが、そのキーワードで広告配信される可能性がある回数のうち、実際にどのくらい配信されたかを割合で示している値です。
CPAが低くCVに繋がっている獲得良好のキーワードに対しては、インプレッションシェアをできるだけ100%に近づけることで、CVに繋がる機会損失を防ぐことができます。
ユーザーからの需要が多い市場であれば、多数のキーワードでCVに繋げられる可能性がありますが、需要が少ない場合は獲得良好キーワードはそこまで多くありませんので、インプレッションシェアの中でも特にページ上部のインプレッションシェアを高められるように入札調整することで、機会損失は発生しにくくなります。
以下は実際に特定のキーワードにおいて、入札を強化してインプレッションシェアを高めたことで、効果を改善することができた配信事例になります。
対応 | IMPシェア | IMP | CL | CTR | CPC | COST | CV | CVR | CPA |
入札強化前 | 71.42% | 20,988 | 1,144 | 5.45% | ¥581 | ¥664,753 | 48 | 4.20% | ¥13,849 |
入札強化後 | 89.71% | 25,232 | 1,455 | 5.77% | ¥620 | ¥902,100 | 63 | 4.33% | ¥14,319 |
また、インプレッションシェアを高めようとするとCPCが上がり広告予算が圧迫することがありますので、獲得良好キーワード以外のキーワードは大幅に抑制もしくは思い切って停止させておいて、予算を見ながら少しずつ拡げていく形にしましょう。
大企業は予算が多くあるため、様々なキーワードで入札を引き上げて高い掲載順位にて広告配信していきますが、予算が限られている場合に同じ攻め方をしてしまうとそれぞれのキーワードが中途半端な掲載位置に配信されて効果が出にくくなりますので、獲得良好キーワードに絞ってしっかりとインプレッションシェアを向上させることで、大企業の広告掲載がある市場でも獲得数を伸ばしていくことができます。
ポイント②:検索語句のデータから追加と除外対応
ユーザーが実際に検索した語句のデータから、キーワードの追加や除外の対応を行うことで、無駄な広告費を削減しながらCV数の増加に繋げることができます。
特に広告費の多くをフレーズ一致や部分一致のマッチタイプで使用している場合は、検索語句を必ずチェックするようにしましょう。
具体的な対応方法としては、表示回数(IMP)が多くCVに繋がっているキーワードがあれば完全一致で登録をしていきましょう。
リスティング広告の完全一致を使う2つのメリットを詳しく解説!の記事でも解説していますが、完全一致でキーワードを登録することで他のマッチタイプと比べて優先的にその検索語句での配信をすることができるので、入札のコントロールがしやすくなりインプレッションシェアの調整ができるようになります。
さらに、検索語句のデータから獲得に繋がりやすい語句や反対に繋がりにくい語句の傾向を見つけて、対応を行うことも重要になってきます。
例えば、「〇〇 購入」など「購入」を含む検索語句の場合にCVに繋がりやすいのであれば、「+〇〇 +購入」の絞り込み部分一致でキーワードを登録してインプレッションシェアを高めると効果が発揮しやすいです。
絞り込み部分一致とは?特徴や使い方を理解して、リスティング広告の改善に繋げよう!の記事でも解説していますが、絞り込み部分一致は完全一致とは反対で優先度が一番低いため、ユーザーの質の高くなる語句を掛け合わせて登録していくことで、効果が発揮しやすくなります。
また「〇〇 比較」など「比較」を含む検索語句の場合に、検索数は多いけどCVに繋がりにくいというデータであれば、「比較」を除外キーワードとして登録しておくことで、無駄な広告費を抑えることができます。
除外キーワードは設定してしまうとその語句を含むキーワードでは今後出稿されなくなりますので、除外キーワードを選定するコツとは?3つのポイントをご紹介の記事も参考にして慎重に設定するようにしましょう。
ポイント③:RLSAを活用したキーワードの発掘
ポイント①で解説した獲得良好キーワードに広告配信を絞ることでCPAは改善していきますが、もしインプレッションシェアを高めても広告予算に余剰があるようであれば、キーワードを発掘して獲得良好キーワードを新たに見つけていく動きを取りましょう。
その際に、むやみにキーワードを追加してしまうと全体の効果が悪くなってしまう可能性があるので、検索広告のリマーケティング手法であるRLSAを導入して、サイトに一度訪問したユーザーに対してのみ入札を引き上げることで、リスクを軽減しながらキーワードを発掘していくことができます。
なおRLSAという言葉を初めて聞いた方は、RLSAとは?仕組みや使い方、設定方法を分かりやすく解説!の記事も参考にしてください。
キーワードの発掘方法としては市場によって異なりますが、商品やサービス名に関するキーワードというのはどの広告主でも出稿しており差別化ができません。
そこでその商品を検討するであろうユーザーの悩みをキーワードとして登録していくことで、新たなキーワードの発掘に繋がりやすくなります。
実際のキーワード発掘事例として、日払い仕事の人材募集の広告を配信していた際に、それまでは職種名関連のキーワードを中心にCVが発生していましたが、日払いの仕事はすぐにお金が稼げることから今現時点でお金が無くて困っている人をターゲットとして、ストレートに「お金 稼ぐ」等のキーワードを追加したところ、以下のように職種名よりも低いCPAでCVに繋げることができました。
キーワード | IMP | CL | CTR | CPC | COST | CV | CVR | CPA |
職種名 | 55,278 | 1,369 | 2.48% | ¥178 | ¥243,823 | 65 | 4.75% | ¥3,751 |
悩み関連 | 77,330 | 2,560 | 3.31% | ¥162 | ¥414,676 | 104 | 4.06% | ¥3,987 |
上記の事例はあくまでも市場と悩みがマッチしていた事例になりますが、ユーザーがどのシチュエーションでその商品やサービスを使いたくなるかを考えて、キーワードに落とし込むことで新たな獲得良好キーワードの発掘に繋げられる可能性があります。
なお、リスティング広告のキーワード選定のポイントの記事では、リスティング広告の配信開始当初のキーワード選定におけるコツをまとめていますので、キーワードを発掘する際の参考にしてください。
広告文(TD)における運用改善のコツ
リスティング広告において、広告文は実際にユーザーに配信されるものであり、広告文の内容次第でユーザーに興味を持ってもらえるかどうか、クリックしてサイトに入ってきてもらえるかどうかが決まります。
そしてこの広告文によってキーワードの品質スコアが決まると言っても過言では無いので、リスティング広告の効果改善するための重要な軸のひとつになります。
なお品質スコアに関しては、リスティング広告の品質スコアとは?入札に大きく関係する重要な指標の記事を参考にしてください。
広告文で運用改善するポイントは、以下の3つになります。
- ポイント④:広告の関連性を高めて品質スコア向上
- ポイント⑤:特定の訴求に特化した見出しの追加
- ポイント⑥:広告表示オプションをできるだけ追加
なお、広告文の基本的な作り方や文字数などは【リスティング広告】広告文の作り方のコツの記事で解説していますので、参考にしてください。
ポイント④:広告の関連性を高めて品質スコア向上
品質スコアの中で「広告の関連性」の要素が低い場合は、すぐに改善を行うことができます。
広告の関連性が低いということは、キーワードの内容が広告文に含まれていないという判断がされている状態といえます。
と言っても中には、「キーワードに関係している広告文で回しているよ!」という方もいらっしゃると思いますが、この品質スコアはGoogleが目視でチェックをしているわけではなくロボットによって自動で判断されています。
つまり広告の関連性を高めるためには、このロボットに「キーワードと広告文の関連性が高い」と判断してもらわないといけません。
そこで一番簡単な方法が、キーワード自体を広告文に含めた形で入稿することで、このロボットに関連性があると判断されやすくなります。
実際にあるアカウントで、広告文の関連性が低く品質スコアが3であったキーワードが、広告文にキーワードを含めただけで1週間以内に品質スコアが5に上がったという経験があるので、すぐに効果が出やすい施策になると思います。
なおキーワードと広告文を一致させるためには、キーワード毎に広告グループを作る必要が出てきますが、広告カスタマイザを活用してGoogle広告の運用効率を上げよう!の記事でも解説している通り、広告カスタマイザ(Yahoo!ではアドカスタマイザー)という機能を活用することで、同じ広告グループ内に複数のキーワードが含まれていても、キーワード単位で広告文を出し分けすることができます。
ポイント⑤:特定の訴求に特化した広告文の追加
リスティング広告ではかなりニッチな業種で無い限り、同じキーワードで他社も広告出稿していることが一般的です。
他社が出稿している中で自分たちの広告をユーザーに選んでもらうためには、そのキーワードに沿った形で他社との差別化をしっかりとユーザーに伝えられる広告文になっているかどうかが重要になってきます。
誰でもクリックしてもらえるように1つの広告文に色々な訴求軸を入れることがありますが、確かにこのような広告は一般受けするので効果が良さそうにみえますが、他社も同じような広告文で訴求していることが多く、ユーザーから見たらどこも違いが無くあまり印象に残りにくいです。
もちろん一般受けする広告文も入れておいて良いと思いますが、完全に1つの訴求軸に振り切った広告文を追加することで、他社との差別化を行うことができますので、クリック率は上がりやすいです。
実際にある女性向けの商品において、最初は女性をターゲットとして肌に優しいなどの女性に向けた広告文で配信していたのですが、商材としては男性が女性へのプレゼントとして用いられることも考えられたので、完全に振り切って男性向けに対しての広告文で配信したところ、以下のようにCTRが約1.7倍になるという事例がありました。
広告文 | IMP | CL | CTR | CPC | COST | CV | CVR | CPA |
女性向け | 107,260 | 2,100 | 1.96% | ¥17 | ¥36,010 | 20 | 0.95% | ¥1,801 |
男性向け | 118,060 | 3,970 | 3.36% | ¥15 | ¥60,910 | 40 | 1.01% | ¥1,523 |
他社も女性向けの広告がずらっと並んでいる中、あえて男性向けの訴求をしたことでかなり差別化に繋がり、どの広告よりも目立ったこと、また男性が検索した場合はほぼその広告をクリックしていることよりCTRが高まったことが考えられます。
上記は商材とターゲットがマッチしていた事例にはなりますが、他社との差別化を意識して広告文を追加することで、ユーザーの興味や印象は高まっていきます。
なお、Googleのレスポンシブ検索広告とは?メリットや特徴を解説!の記事でも解説していますが、Google広告ではレスポンシブ検索広告という機能を活用して一般受けする訴求軸から差別化に繋がる訴求軸を追加することで、よりどの訴求軸がユーザーに受け入れてもらえるかを自動で判断することができるのでおすすめです。
ポイント⑥:広告表示オプションをできるだけ追加
リスティング広告の本やサイトなどではよく書かれていることですが、広告文の下に掲載することができる広告表示オプションはできるだけ追加しておくことも改善の重要なポイントです。
広告表示オプションを追加するとリスティング広告の広告枠を拡げることができるので、ユーザーにクリックされやすくなります。
サイトリンク表示オプションの活用でリスティング広告のCTRが向上!の記事でも紹介していますが、広告表示オプションの中でもサイトリンク表示オプションを活用することで、実際にCTRが高くなったという事例があります。
設定状況 | IMP | CL | CTR | CPC | COST | CV | CVR | CPA |
設定前 | 345,260 | 23,679 | 6.86% | ¥27 | ¥628,599 | 76 | 0.32% | ¥8,260 |
設定後 | 352,891 | 35,260 | 9.99% | ¥22 | ¥787,844 | 128 | 0.36% | ¥6,179 |
またCTRだけでなく、広告文以外の訴求軸を追加することができますし、リスティング広告の掲載順位やクリック単価を決める広告ランクを高めることができるので、広告表示オプションを使えるのであれば、必ず使うようにしましょう。
なお、広告表示オプションのメリットと実際の配信事例をご紹介!では、現時点で活用することができる広告表示オプションをまとめていますので、まだ設定していない広告表示オプションが無いかどうかチェックしてみてください。
ランディングページ(LP)における改善ポイント
リスティング広告において、ランディングページはユーザーが広告文をクリックして遷移するページであり、実際に商品やサービスの内容を知ることができる部分になります。
ランディングページの見せ方やCVまでの導線次第で、CVRは変動することになりますので、キーワードや広告文と合わせて定期的に改善していく必要があります。
ランディングページにおける改善ポイントは以下の2つになります。
- ポイント⑦:ランディングページの利便性からコンテンツ修正
- ポイント⑧:入力しやすいフォームへ最適化(EFO)
ポイント⑦:ランディングページの利便性からコンテンツ修正
ランディングページの利便性は品質スコアを決める1つの要素となっており、そのキーワードに関する内容が含まれているかどうか、そのページ自体が使いやすいものになっているかどうかなどが判断基準になってきます。
ただしあくまでも想定になりますが、このランディングページの利便性もGoogleのロボットが判断しているため、コンテンツの内容まで見ているとは考えづらく、恐らく流入してきたユーザーの滞在時間が重要な判断指標になっていると思います。
もしランディングページの利便性が低い数値になっているようであれば、そのキーワードで流入しているユーザーが探している内容が、ランディングページに含まれていないということが考えられます。
そのため、ランディングページの利便性が低いキーワードのコンテンツをランディングページに含めることで改善できます。
また、検索数の多いキーワードであれば、別でランディングページを作ることで改善に繋げることができます。
例えば、自転車を販売しているECサイトであれば、「マウンテンバイク」「クロスバイク」「ロードバイク」など様々なキーワードがありますが、それぞれに特化したランディングページを用意してあげることで、ユーザーの利便性は向上しますので品質スコアの改善にも繋げることができます。
ポイント⑧:入力しやすいフォームへ最適化(EFO)
ランディングページの利便性は高いけどCVRが付いてこないようであれば、CVまでの導線で離脱してしまっている可能性があります。
特にCV地点が入力形式のフォームの場合、余計な項目があると効果が下がりやすいので、エントリーフォーム最適化(EFO)とも呼ばれますが配信しながら入力フォームの見直しを行っていくのが重要です。
あくまでもこれまでの経験からお話ししますと、ランディングページの訴求内容を検証していくよりもフォームなどのCV地点を変える方が、CVR改善へのインパクトは大きいと思います。
なぜなら実際にエントリーフォームを変えるだけで、以下のように大幅に数値が改善した配信事例もあるからです。
対応 | IMP | CL | CTR | CPC | COST | CV | CVR | CPA |
EFO実施前 | 18,028 | 187 | 1.04% | ¥976 | ¥182,509 | 1 | 0.53% | ¥182,509 |
EFO実施後 | 22,198 | 318 | 1.43% | ¥949 | ¥301,660 | 6 | 1.89% | ¥50,277 |
ただし、もちろんランディングページの訴求内容が合っていないという可能性もありますので、CV導線のどこのページでユーザーが離脱しやすいかを先にしっかりとデータから判断していく必要があります。
そこで、マイクロコンバージョンを導入することで、CV導線のページ毎に計測できますので、どのページで離脱しているかどうかを判断できるようになります。
マイクロコンバージョンについては、Google広告でマイクロコンバージョンを使うメリットを解説!の記事でも解説していますが、今回のようにサイトの改善点を見つける上でも重要な設定になってきます。
まとめ
キーワード・広告文・ランディングページの3軸に分けて、改善していく必要があるんだね!
キーワードだけでもダメだし、広告文だけでもダメで、3つの軸をそれぞれ改善していくことが重要なんだ!
今回はリスティング広告の効果を改善させるための8つのポイントとして、キーワード・広告文・ランディングページの3軸に分けて解説させて頂きました。
あくまでも市場や業種、広告予算によって異なってきますが、この記事では実際に効果が出た運用ポイントを紹介しましたので、様々な業種の方にも当てはめて改善していくことができると思います。
この8つのポイントをメインにある程度リスティング広告の数値を改善することが出来たら、次にアカウント構成の修正をしたり自動入札の導入を行い、さらなる上積みを目指していきましょう。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
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