リスティング広告を配信しているんだけど、スマホの成果が悪くて困っているんだ…。
スマホの成果は悪くなりやすいんだけど、そんな時に活用できるのがデバイス別入札単価調整なんだ!
リスティング広告は、特に何も設定しないまま配信するとパソコン・タブレット・スマホのそれぞれのデバイスに対して、同じ入札単価で広告配信されます。
しかし、多くのサイトは小さい画面のスマホデバイスよりもパソコンの方がCVRは高くなりやすいため、スマホに対して入札単価を抑制したいという場合が多いです。
今回は、そんなスマホデバイスに対して入札単価を調整できるデバイス別入札単価調整の機能を活用して、スマホでのリスティング広告を効果的に配信する方法を解説させて頂きます。
デバイス別入札単価調整とは?
まずはデバイス別入札単価調整がどのような機能なのか、解説していきます。
デバイス別入札単価調整の仕組み
デバイス別入札単価調整とは、キャンペーンおよび広告グループに対して設定できる調整機能で、パソコン・タブレット・スマホの3デバイス、YouTube広告ではテレビを含めた4デバイスに対して、調整を行うことができます。
具体的には、それぞれのデバイスに対して、-100%~+900%までを設定することができ、その調整率が設定されたデバイスで広告配信される場合は、通常の入札単価に対してその調整が加味された単価で入札を行うことができます。
例えば、「自転車」の広告グループのスマホの入札単価調整率を「-50%」、タブレットの入札単価調整率を「+50%」と設定、その広告グループの中に登録している「自転車 購入」のキーワードの入札単価を100円としていた場合、以下のようにそれぞれのデバイス毎で入札単価を変更することができます。
デバイス | デバイス別入札単価調整 | 入札単価 |
パソコン | 設定なし | 100円 |
スマホ | -50% | 50円 |
タブレット | +50% | 150円 |
デバイス別入札単価調整を引き上げたタブレットでは、
(1+0.5)×100円=150円
と計算され、デバイス別入札単価調整を引き下げたスマホでは、
(1-0.5)×100円=50円
と計算が行われて、それぞれの入札単価が決まります。
スマホのみにリスティング広告を配信する
スマホでしか展開していないサービスや、パソコンではほとんど獲得がないようなサービスでは、リスティング広告をスマホのみに配信したいという場合があると思います。
この場合は、デバイス別入札単価調整を使ってスマホ以外のデバイスでリスティング広告を配信させないという設定を行います。
具体的には、パソコンおよびタブレットに対して、デバイス別入札単価調整を-100%に設定することで、それぞれのデバイスの入札単価が0円となり広告が配信されなくなります。
一点注意が必要なのが、キャンペーンのデバイス別入札単価調整に-100%の設定を行った場合、その中の広告グループで+50%などの数値を設定していたとしても、キャンペーンで設定しているデバイス別入札単価調整の値が優先されますのでご注意ください。
スマホ配信に最適なデバイス別入札単価調整率の決め方
ここからは、リスティング広告を最適化するためのデバイス別入札単価調整率の決め方について解説していきます。
デバイス別入札単価調整の考え方
「スマホの効果が悪いからスマホのデバイス別入札単価調整を引き下げればいい?」と思われがちですが、実はそのまま引き下げると反対に効果が悪くなってしまう場合があるのです。
なぜなら、デバイス別入札単価調整はあくまでも調整率を設定するものであって、キーワードの入札単価次第で大きく変わってくるからです。
もう少し具体的に説明すると、パソコンと比較してスマホデバイスの値が悪く引き下げるということであれば、キーワードの入札単価の基準はパソコンの値を元に決めてあるのが前提になります。
しかしキーワードの入札単価を決める際は、全デバイスの合計数値を基準にして決めることが多いので、スマホだけにデバイス別入札単価調整を設定してしまうと上手くいかなくなります。
そこでデバイス別入札単価調整を決める際は、各デバイスの値と全デバイスの合計数値を比較して計算して決めていきましょう。
デバイス別入札単価調整の計算方法
例えば、各デバイスの配信数値が以下のようになっていたとします。
デバイス | IMP | CL | CTR | CPC | COST | CV | CVR | CPA |
パソコン | 28,195 | 1,057 | 3.75% | ¥828 | ¥875,119 | 43 | 4.07% | ¥20,352 |
タブレット | 6,258 | 240 | 3.84% | ¥544 | ¥130,462 | 6 | 2.50% | ¥21,744 |
スマホ | 61,536 | 2,856 | 4.64% | ¥432 | ¥1,235,179 | 76 | 2.66% | ¥16,252 |
合計 | 95,989 | 4,153 | 4.33% | ¥540 | ¥2,240,760 | 125 | 3.01% | ¥17,926 |
全デバイス合計のCVRを基準にして、各デバイスのCVRの値からそれぞれがどのくらいの調整率を設定することで、最適なCPCになるのかを以下の計算で行っていきます。
{(各デバイスのCVR÷全デバイス合計のCVR)-1}×100
- パソコン:{(4.07%÷3.01%)-1}×100=+35%
- タブレット:{(2.50%÷3.01%)-1}×100=-17%
- スマホ:{(2.66%÷3.01%)-1}×100=-12%
ここで計算された値をそれぞれのデバイス別入札単価調整の値に設定していけば、最適な調整が行われるようになります。
なお、この計算式は以下を元に算出しています。
適性のCPA単価を18,000円とした場合に、それぞれのデバイスのCVRにおける最適なCPCが以下のように計算されます。
適正CPA単価×CVR=最適CPC
- パソコン:18,000円×4.07%=732円
- タブレット:18,000円×2.50%=450円
- スマホ:18,000円×2.66%=478円
- 合計:18,000円×3.01%=541円
全デバイス合計の入札単価を基準にするため、合計の最適CPCである541円に対して、各デバイスを何%調整することでそれぞれ最適なCPCの値になるかをさらに以下の計算で行います。
{(各デバイスの最適CPC÷合計の最適CPC)-1}×100=最適なデバイス別入札単価調整率
- パソコン:{(732円÷541円)-1}×100=+35%
- タブレット:{(450円÷541円)-1}×100=-17%
- スマホ:{(478円÷541円)-1}×100=-12%
デバイス別入札単価調整の失敗例
デバイス別入札単価調整は簡単に設定することができるのですが、その分失敗も起きやすいです。
ここではよくやってしまいがちな失敗例について、解説していきます。
失敗例①:各デバイスのCVRを比較して設定する方法
例えば、パソコンのCVRが10%、スマホのCVRが5%の場合に、思わずスマホのデバイス別入札単価調整を-50%にしてしまいがちです。
スマホのデバイス別入札単価調整を引き下げるのは良いのですが、-50%にしてしまうと引き下げ過ぎになります。
これはデバイス別入札単価調整の考え方でも解説しましたが、キーワードに設定する入札単価は全デバイス合計の値が基準になっており、その中にはスマホデバイスの数値も入っています。
つまりキーワードの値自体にスマホの数値が含まれているのに、さらにデバイス別入札単価調整を引き下げることは二重で単価の抑制を行ってしまうので、引き下げ過ぎとなります。
失敗例②:各デバイスのCPAから調整率を設定する方法
例えば、運用指標のCPA単価を15,000円として、パソコンのCPAが10,000円なら+50%、スマホのCPAが20,000円なら-25%と計算することで、CPAが合うのでは無いかと考えることもできますが、これも失敗しやすい典型的な考え方です。
なぜ失敗するかというと、これがすでにデバイス別入札単価調整が設定されたCPA単価である場合、その過去に設定していた単価調整率を基準にして調整を行わないといけないからです。
もう少し具体的に説明すると、パソコンにすでに-50%のデバイス別入札単価調整が設定された上でのCPA10,000円ということであれば、この-50%に対して50%の引き上げ、つまり0%に設定するのが最適であって、+50%で設定してしまうと引き上げ過ぎになります。
この方法で調整していく場合は、常にデバイス別入札単価調整をいついくらに変えたかを元に設定していかないといけず、期間が経過すればするほど最適な値が計算しづらくなります。
まとめ
デバイス別入札単価調整は全体の数値を基準に設定していくのが良いんだね!
良かれと思ってデバイス別入札単価調整を設定すると、痛い目を見るから気を付けてね!
今回は、スマホのリスティング広告を最適化する上で重要となるデバイス別入札単価調整について、最適な値の計算方法を解説させて頂きました。
デバイス別の配信数値を元に調整するのは良いのですが、正しく計算して入札単価の調整率を設定していかないと反対に悪化してしまうことが起きてしまいます。
もしスマホが悪くて抑制をしているのに、件数もどんどん低下してしまっているということがあれば、もしかするとデバイス別入札単価調整の設定方法が間違っているかもしれません。
是非、この記事を参考にデバイス別入札単価調整を正しく設定して頂ければ幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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